開業を思い立ったのは数年前。 名坂氏がシステムエンジニアとして働いていた頃、「人に雇われるだけで終わる人生にしたくない」「お金と時間に縛られない生活を手に入れたい」そんな想いからだった。
その頃、飲食業界には「グルメバーガー」と呼ばれるジャンルは、まだまだメジャーではなく、特に東京から離れるとお店自体も少なく、「ハンバーガー = ファーストフード」という図式が出来上がっており、「手作りのハンバーガーの美味しさをまだ知らない人達に伝えたい」という思いを抱くようになった。
開業することを決めてからは、物件探しと、慣れない飲食店でのアルバイトの日々が続いた。元々、技術職を何十年と続けていたのと、性格上の問題から接客業はとても苦手で、恥をかいたり怒られたり という毎日。それでもグルメバーガーに活かせる技術を学ぼうと働き続ける中、一緒に働きたいという料理人のパートナーが現れた為、厨房を全面的に任せる事にする。
その後何とか念願の開業を果たしたが、店舗を周囲の人に認知してもらうまでとても時間がかかり、特に夜、お客様の来店が殆ど無いという日も珍しくない状態が続く。しかし、チラシ配り等の日々の努力の甲斐もあり、徐々に客足は増え、グルメバーガー本から取材を受けたり、テレビ取材を受けるようになった。
今はまだ余裕があるとは言えない状況だが、いつかこの店舗を複数店舗展開するという目標を掲げながら、今日も名坂氏自身、ホールに立ちながら苦手な接客と向き合い、お客様の声に耳を傾けている。