もともと父親が家業でサンドイッチ店を経営していた。その場所を27歳の時に引き継いだのが飲食店を経営することになったきっかけだった。当初はサンドイッチ主体のカフェバーとしてはじめ、約3年間営業していたという。現在のステーキ屋の形になったのは、偶然が重なった結果だった。当時下北沢にあった、まだフランチャイズ展開する前のふらんす亭に出会い、その業態に可能性を感じのれん分けをしてもらったのがはじまりだという。
1992年ステーキ屋として開業後は非常に好調に売り上げをのばしたため、当時のフランチャイズ『ふらんす亭』のコンセプトモデルになった。「その当時売り上げも好調だったので、直営店も3店舗に増やし、その他焼肉業態とホルモン焼き業態の店舗を1店舗づつ広げました。」そう渡辺氏は振り返る。
しかしその後は売上が伸ばせない厳しい時期も経験し、本来の自分自身にあった主力業態に立ち返ることを決意。 「当時は店舗を増やす事は出来たが、業態のタイミングを外したり、建物の建て替えで移転を余儀なくされたりと厳しい時期もありました。」「今もそうですが、日々決断に迷う時は、現場にでるとテンションも上がりポジティブに考える事が出来るんです。現場に出ながら、やはり自分自身にあった業態に立ち返ろうと決めました。」
その後これまで踏襲してきたふらんす亭のスタイルから自社で開発した業態コンセプトに転換を図り、『1ポンドステーキと肉汁溢れるハンバーグ』を主力に打ち出した『ヒーローズ』が誕生した。わかりやすく明確なコンセプトが、ターゲット層をしっかりつかみ今では常に行列が出来る繁盛店となった。
「一番嬉しかったのは、長く厳しい時期でもついてきてくれた今のスタッフにはじめて賞与を出してあげる事が出来た時です。」「人が一番!彼らがいてこそ自分も今社長という立場で仕事ができる。感謝の気持ちを持って頑張っているスタッフに報いてあげたい。」そう渡辺氏は語る。今後直営店舗の出店も含め、将来的には、今のスタッフがそれぞれ独立し開業できるように支援していきたいとのことだ。