板前の父親と、喫茶店を営む母親を持つ南氏にとって飲食業は常に身近なものだった。嫁いだ先もまた先代が亡くなるまで寿司屋を営んでいた。その寿司屋跡地の活用として「café 自休自足」は誕生した。準備期間もなく予算も時間も経験もない中で始めた当初は、大変な苦労がありながらも「素人だからこそ出来た」こともあったという。開業当初、今では看板メニューのひとつ「石焼ナベ」での提供は、父や夫から「意味がわからない」と言われることもあったそうだ。しかし、後々そのアイディアがメディアに取り上げられ徐々に認知されることになった。一方で開業2年目から始めた「実践・カフェ開業塾」は、今も月一回のペースで継続しており、延べ500人以上の参加者と30店舗を超える開業者が参加した。大変な取組みを続ける理由は南氏自身の経験が根源にある。開業以前に通っていた開業塾の仲間達が、なりふり構わず「自分のお店を作るように」手伝ってくれなければ開業できなかったという。「人との縁」の大切さを実感し、その「恩返し」は「助けてくれた人」だけでなく、これから「お店をつくりたい人」へ向け、南氏自身が「開業塾」を開催するに至った。人気店となった今でも「参加者との縁」を大切にしながら、「食」を通じて「安心と喜び」そして「共に学ぶ日々」をこれからも続ける。