実は、2014年にこの店を開業する以前、2009年に地元福島でこの店の前身となる「JOE’SMAN」を開業している。
元々は東京にいた髙崎氏は、両親が経営する洋食店を継ぐつもりで地元に戻ったが、両親がまだ現役で店に立っていることもあり近くで自分の店を持つことにした。1店舗目の開業の際は、既に飲食店を経営している両親の知り合いなどが助けてくれたこともあり、あまり苦労を感じたことはなかった。
しかしその1年半後、あの東日本大震災が起こった。原発の5km圏内に居た髙崎氏及び両親は、それぞれ地元を離れた。
髙崎氏はその後神奈川県内の飲食店に就職。店長職に就き、店舗の数値管理を学びながら、自分の店を再度開く準備を整えていった。
現在の店舗を開業する際は、2度目の開店とはいえ、地元とは勝手が違った。法令に関するようなことになると、誰も自分の責任で発言をしない。そんな状況のまま、大家・内装業者・近隣店舗など周囲とのやり取りに時間と手間を割きなんとか開業にこぎつけた。
JOE’SMAN2号は、”魚と日本酒のマリアージュ”がウリである。開業後、試行錯誤を重ねる中で、今年からは魚をメインにすることにし、より専門性を高めることにしたのだ。魚料理はどれもひと手間もふた手間もかけられ、”洋”のテイストを ミックスしている。
中にはこうした料理・素材・酒・BGMなどのミックスについて批判する人もいるという。しかし、自分が良いと思ったこのテイストを貫くための、それに負けない気持ちの強さを持つことが大変だったと髙崎氏は語る。批判がある中でも、この店を通して人との出会いが増えたことは喜びであり、お客様から自分のみならず料理やスタッフが褒められることはやりがいでもある。
今後は現在の店を含めて3店舗経営することを視野に入れている。3店舗目は、いつか両親が経営していた洋食店を復活させることだ。そのために、今日も美味しい食事と日本酒の組み合わせを”遊んで” 頂くために腕を振るっている。
これから開業する人へは、やれることは早目にやり物件が決まる前 (コンセプトが決まった時点)に自分の店を具現化してくれる業者を探し一緒に動いた方が良いとアドバイス。「開業前には、とにかくどこかへ行って話を聞くなり、リサーチをした方が良い。きっと役立つサービスがあるはずだ。」と話す。飲食店を開業するには料理やコンセプトを作るだけではない、多くの”やるべきこと”が待っている。その苦労を身に染みて感じた髙崎氏だからこそのメッセージだ。