『十割蕎麦処くりはら』は店主の栗原氏が、石臼で挽いた自家製粉の挽きたて十割蕎麦と無農薬有機野菜を使用し調味料までこだわった料理を楽しめる蕎麦店だ。20代前半のころは大学の図書館で司書として働いていたその後が、「30歳の時に陶芸に出会い、独学で陶芸を勉強し陶芸家として陶芸教室を主宰してきたという。
蕎麦店を開業するきっかけは、信州に住む彫刻家の友人を訪ねた折に、そこでとれた蕎麦粉で作られた手打ち十割蕎麦の美味しさに感動し、自分でも打ってみようと決断し、はじめは家族のためだけに打っていたが、徐々に友人のためにふるまうようになり、蕎麦打ちライブとして居酒屋を借りたイベントも定期的にするようになったという。その活動を5年ほどした後、自宅の1階を店舗として開業をしたとのことである。
「陶芸と蕎麦打ちに共通していることは蕎麦粉や粘土を練って伸ばす工程です。もともと手先は器用な方なので、どちらも独学で学び習得しました。」そう栗原氏は振り返る。
『十割蕎麦処くりはら』では、こだわりの蕎麦はもちろん、栗原氏が手間をかけ作っている柚餅子やそばがきなどおつまみと共に、新潟の酒蔵が限定生産している入手困難な日本酒『鶴の友』も楽しむことが出来る。「素姓のはっきりとした食材を使用し、ごまかさないで本物の味を伝えて行きたいと思っています。料理は素材で8割~9割が決まると思っています。どんなに技術が高くてもそこをおろそかにしてはだめだと思っています。」そう栗原氏は語る。食材と細部へのこだわりは多く、店の器はすべて栗原氏が作り、蕎麦粉をふるう道具も手作りである。屋上には約10tもの土を入れ菜園を作り葉物を中心に有機野菜を育てているという。
開業から14年目となり今では、遠方から評判を聞いて訪れるお客様も多いそうで、今後もごまかしのない本物の味を伝え続けて行きたいとのことだ。