佐藤氏が、飲食業界に転身したのは30代半ばだった。それまでは日産自動車の商品企画や法務などで約十数年働いていたという。 転身するきっかけは、日産自動車の担当としてロサンゼルスに駐在していた時だった。
当時日本のヘルシーでライブ感のある寿司や鉄板焼きなどの日本食文化が定着し始め、若者世代がそれに継ぐ新たな日本のフードカルチャーを探している流れを感じた時に、日本独自の国民食カレーに2つの要素(ヘルシーとライブ感)を加えた業態を持ち込めば流行るのではないかと感じたのだ。仕事の関係で日本に戻ることになった時、この着想は東京でもいけるのではと考え開業を決意したという。
「当時日本でカレーを食べ歩いた時に、日本のカレー店の共通項は、男性向けでありジャンク(がっつり・こってり)でシンプルがコンセプトと感じました。一方であるリサーチの結果では女性の95%はカレーが好きだという結果もあり、逆の発想で女性向けであればこのコンセプトで行けるのではと感じました。」そう佐藤氏は語る。
大手チェーン店で2年飲食店運営を学んだ後、2007年「野菜を食べるカレーcamp」を開業した。「開業した当初2年間は厳しい時期が続きました、ただ当初のコンセプトを崩す事は絶対にしたくありませんでした。わずかながらですが手ごたえも感じていたこともあります。」現在の名物メニュー『1日分の野菜カレー』は、そんな時期に毎日来て頂いていた常連様への特別メニューから誕生したのだという。口コミで評判となり、現在は直営店とFC店舗合わせて13店舗展開している。今後はさらに多店舗展開を進めて行く予定だという。
「飲食店経営の上で一番大事なのは『現場』です。」「厳しい時期もあったがその経験があるからこそ現場の大切さを知りました。今後も現場に立ち続けます。」そう佐藤氏は語る。今後も現場に立ち続けながら新たな食文化の創造に挑戦し続けるとのことだ。