京急川崎駅から繁華街を抜けた裏路地の一角に佇む“まぜそば”の人気店がある。『麻婆まぜそば 麻ぜろう』だ。店主の前田藤郎氏がカウンター9席を日夜、一人で切り盛りする。
「逸品力のあるメニューに特化したお店を出したかったんです。」
前田氏が飲食業の道を志したのは、父親が中華料理店を経営していたことから、16歳の時にアルバイトでお店に入るようになったことがきっかけだった。ホール業務からスタートして店長を務めるまでになった。ある時、父親がキッチンスタッフの人手不足に悩み困っているのを目にして、調理場に見習いから入ることを決心したという。そこで調理の修業を続け、27歳の時に晴れて独立し中華料理店を開業した。経営に携わるのは初めてで右も左も分からない・・・、何から始めたら良いのか分からない・・・。「とにかく宣伝と集客には苦労しました。」
手探りに人のマネをしながら地道に続けた。その中でも絶対に譲れないと決めていたことがあった。“絶対に安売りはしない!”“味、商品力には自信があったので価値を知ってもらえれば、きっとリピーターになってもらえる”そう信じて続けた結果、独立して2年目を迎える頃にはお客様が付き、経営が安定するようになり、次第に人気店になっていったと言う。独立3年目には1号店のそばにラーメン店を出店するまでになった。こちらのラーメン店も口コミの評判が高く、大変な人気店だった。
ここで大きな誤算があった。一般に中華料理店は料理人を育て上げるのに時間も掛かる上、スタッフが根付かない・・・。前田氏は1号店に専念しなければならず、ラーメン店は他のスタッフに任せざるを得なくなった。結果、ラーメン店は売上が落ち込み、閉店することにした。
プロの職人を必要としない、高い調理技術を必要としない、キッチンの人手が少なくて済む、
そこで前田氏が導き出した答えが、“逸品力のメニューに特化したお店”だった。
もう一つ強力な武器があった。改良に改良を重ねてヒットメニューになった『土鍋の麻婆豆腐』だ。「看板メニューの『麻婆まぜそば』は奥さんのアイデアなんですよ!」夫婦2人で商品開発に励み、他店には無い究極の逸品メニューが完成し、2016年現在の地で新たに出発することになった。“自分がお客様だったらどう感じるか?”=客観的な目線で考えること。「逸品力は絶対に崩さない。お客様は裏切りませんから。」前田氏が大事にしていることだという。この点もお客様に支持される所以だ。
最後に将来出店をお考えの方へメッセージ
「どうして出店しようと思ったのか?その気持ちを忘れないように大切にしてください!お店を営業していくうちに答えが返ってきます。」
夢へひた向きに走り続けることの大事さを伝えてくれた。