元々はお菓子作りというより、喫茶店をやりたいと思っていた。その道の学校に進もうと考え、調べていたら調理師学校ではなく、製菓学校があることを知り入学した。当時はまだ製菓学校が少なく、名古屋になかったので、浜松の製菓学校に入学して、お菓子作りを学んだ。入学後は菓子作りの面白さにひかれ、パティシエとしてやっていこうと思うようになったそうだ。
卒業後は浜松のケーキ屋さんに5年勤め。さらに名古屋の珈琲専門店でも1年働いた。当時ケーキ屋さんの喫茶部門のコーヒーは美味しいと思えるものがなかったので、ケーキも珈琲も美味しいものが出せるお店にしたいと思い、その後改めてケーキ屋さんの店舗責任者という立場で働いた。さらに、なぜ売れるのか、人気なのかを肌で感じようと、当時の人気店にも勤めて、その後独立。
さらに、独立の準備をしながらパン屋さんでも働いた。
(将来的にパンもやりたかったので)
日常使いの、地域に溶け込んだケーキ屋さん、がコンセプト。ただし、洋菓子なので、お店づくりは非日常感を演出した。
開業当時、土地探しに非常に苦労した。広い土地でやりたかったが、敷地全体は300坪。農地を中心に粘り強く探してやっと見つけたのが今の場所。
看板メニューは特に設定していない。当初はそれが悩みだった。しかし、お店をやっていくうちに、お客さまからは「普段甘いものや生クリームが苦手な子供がここのお店のは大好き。」「このお店のしか食べない。」という声をたくさんいただくようになった。
繁盛継続の秘訣は?の問いに「まず、大きい店と広い駐車場は武器だと思う。それから、お客様が求めているものを、なるべく取り入れていきお客様の注文からできた商品も多い。」と語る。
地域に溶け込む意味でよかったのは、モーニングを始めた事。これで新しい層のお客様が増え地元のお年寄りが来てくださるようになった。ケーキ屋さんには入りにくいけど、喫茶店のモーニングには好んで来てくれる。ここで、パン屋での修業が役にたった。モーニングで、焼き立てのパンを出すケーキ屋さんはなかなかない。お年寄りが増えたことで、お孫さんにケーキを買って帰る方や、誕生日のケーキを予約してくださる方が増えた。
あと、地域に溶け込む取り組みとして始めたのが「マルシェ」の開催。地域の農家さんなどに声を掛けて、野菜を持ち寄って売っていただいた。自分も焼き立てパンや、焼き菓子を売った。これも、新たにお店を知っていただくきっかけになり、さらに広がりができた。今後も続けていきたいとの事。
経営で大事にしていることは、一流ホテルに勤めていたとか、超人気店のパティシエだったとかの経歴があるわけではないので、人と協力する、周りの力を借りる事を考え実践する事で、方向性が定まっていないという批判もあるかもしれないけれど。変に固まらずに柔軟に適応しようとしてきた結果、地域のお客様に支持されつつあるのだと思っているそうだ。
今後の計画としては、敷地はまだ余裕があるので数年先にさらに拡張して、カフェ用の厨房を作って、ランチやデリの販売なども手掛けていきたい。との事。
最後にこれから始める方には、周りの人の存在はありがたい。(親、親戚、友人)その協力がなければできなかったと思う。開店の時に良いスタッフと出会えたことも大きい。自分一人ではなかなか成功は難しい。そういう人間関係を大事にしてほしいとエールを贈る。