先代である父のラーメン店を長年見てきた井上氏。アメリカの大学に留学したことで、日本の文化の良さに気づかされ、国民食であり、アメリカでもヌードルとして親しまれていたラーメンを海外に輸出したい、と25年前から考えていたそうだ。帰国後、先代のラーメン店で窓ふき、トイレ掃除、皿洗いから始めて、9年修行した後、ラーメンの海外輸出を実現させるための会社を10年前に立ち上げた。現在は、ラーメンは国内9店舗、海外11店舗展開しているが、その他にも多種の飲食店を経営している。北海道の一次産業を美味しく食べてもらおうと、北海道の現地でしか手に入らない一品料理や地酒を空輸で毎日送る「ラーメンダイニング」という新しいスタイルも、東京の一等地で4年前に開業した。飲食業はエンターテイメントなので五感で北海道を知ってもらいたい、北海道を食をきっかけに興味を持ってもらいたい、食を求めて北海道に来るきっかけにしたい、という思いで始めたそうだ。
計40店舗経営する井上氏は飲食店に必要な要素として、Place(場所)、Product(商品)、Price(価格)、Person(人)の4つを大切にしているそうだ。「安く出店できるからここで店を出そう」ではなく、この4P理論が合致していることを重視していると語る。
これから始められる方には、ファーストフードやファストファッションなど、食も衣類も便利になりすぎて、対話が重視されないような時代になってしまったからこそ、若い世代には起業する場所に関しては世界も見てほしい。先輩というよりも同志として、要請があれば全力で協力するので大いなる志をもってチャレンジしてもらいたい。そうやって1+1=3になるよう飲食業界をみんなで盛り上げていきたい、とエールを贈る。