私は「お店の管理人」って言ってます。「皆がくる場所のカギをあけて、いなくなったらカギを閉めるんです。」と、どんな時も絶やさない笑顔で話すオーナーの増川氏の経歴は異色である。高校卒業から16年間、損害保険会社の総務として勤めながら「接客をする飲食業がしたい」いう想いと、職場の環境が変わったことをキッカケに退職。漠然とカフェをやりたいと行動すると様々な出会いを経て現在に至る。調理もドリンクも、できないことばかりだったが多くの「出会い」に恵まれ、その「出会いの分だけ、もらったヒント」を実践し乗り越えてきた。近隣の飲食店や、やおやさんと「競合するのではなく共存」という考えのもと開催する「ミニ大通マルシェ」が毎年好評で、増川氏の人柄があってこそと感じた。意外にも肝心なことになればなる程、誰にも相談しないで決断しているとのことだが、その後の行動は実に潔い。「皆のおかげ」「いまだに自分のお店という感じが全然しない」「自分のお店ではなくて皆の空間」「どれだけお店が続いても自分のモノとは思えない」とサラリ。ここでは「いらっしゃいませ」は「おかえり」、「またお待ちしてます」は「いってらっしゃい」と見送られる、「ここでは普通」でも、「ここにしかない空間」を今後も守り続ける。