16年間勤めた会社を退職、いままでとは違う時間にゆとりができた。ふと自宅から見た景色に疑問をもったことがすべての始まりだった。いままで出会った友人知人はいる、しかし廻りに立ち並ぶ高層マンションには気軽に触れ合う人はいなかった。普段すれ違う人とこそ「挨拶」をしたり「会話」をするほうが普通ではないか?その疑問は地域へ「みっちゃん便り」という地域の身近な情報を配布するということから始まった。当初、半年続けて反響がなければやめようとしていたが思いのほか地域の方達が読んでくれていて掲載する話題も部数も徐々に増え、様々な世代の手に届くようになり、美術館との情報交換が始まるようになる。30年以上続いている美術館内のカフェが閉鎖となって半年、再開を望む声が美術館内外から募り、様々な流れの中で現在の「café きねずみ」での再開に至る。 美術館との併設だからこその制限はあるが、カフェオーナーとなっても「地域」との共生は変わらない。お店で提供するパンやお菓子を初め茶話会の開催、すべてが密接に関わっている。「多くの方に自分の住んでいる地域に関心を持って欲しい」と語り「身近にいる人」を大切にしながら「カフェから見える景色」も大切にしている。些細なことかもしれないが、季節が織りなす景色に寄り添うように「季節のお菓子」を提供し代え難い大切なサービスになっている。一人一人違う人が集まる地域を大切にする森氏だからこそ伝わるものがあり、今後も地域の絆づくりの手助けになれるように新しい取組みに挑戦し続ける。