兼松氏は、もともと映像関連の専門学校に通ったあとADとして働いていたという。転機となったのはADとして過酷な職場で働いていた頃、交通事故に会ったことだったとのこと。その時に改めて自分の生活や今後の人生を考えはじめ、営業職や飲食業にも関わるようになり、社会に役立つことができる社会起業家を志したのだという。
「飲食業で働いたのは、大手の飲食チェーン企業数社でしたが、経営理念に日本一ありがとうを集めるという理念や感動創造という理念があり、そこに素晴らしさと共感を感じました。」勤めた企業では、想いを共有した人を育てることを各店舗で行っていくことで、何度も目標を達成し、売上を改善した実績をもつ兼松氏。
「開業を考えたのは、身内がガンかもしれないという時期があり、その時に何とかしなければいけないという強烈な思いで、自分自身で栄養学を学んだり、本当に健康に良い質の良いものを食べているのか改めて考えるようになったことがきっかけでした。幸いにもガンではないということが判明してよかったのですが。本物の身体によい食をつくり伝えていきたい。環境から食がつくられ、人がつくられるということを感じ。それをテーマとした飲食店をつくりたいと開業を決意しました。」
「開業を考え始めたころから、食のセミナーやイベントなどに積極的に参加したり、SNSでグループを作り同じ想いに共感してくれる仲間を集めて、自分自身でもイベントを企画し、開業するための準備を進めました。」開業する際に自己資金はほぼなかったとのことだが、およそ1年前からイベントなどを積極的に行い仲間を増やし、ネットワークを作ったことにより、資金援助してくれる人も現れ2011年開業をすることができたとのこと。
「開業して数年は、メニューの内容なども試行錯誤する時期が続きました、売り上げも店長にまかせっきりにしてしまい、落ち込むこともありましたが、もう一度見直して現場のメニューや運営を作り直し、今は過去最高売り上げを更新できるようになりました。」
「2018年1月からは、開業当時からの自然食材や調味料、特に自然栽培(無肥料・無農薬)のお野菜を中心とした食材のこだわりは変えずに、肉・魚・乳・卵・はちみつまでも使わないビーガンメニューに切り替えることで、更に特徴を際立たせたスタイルに変えました。また運営も自分自身が改めて現場に立ち、スタッフを指導し、採用も理念を共有できるスタッフをまず採用するという方法をとることで、人が育ち合わせて売り上げも伸びる体制を作ることができました。」そう兼松氏は語る。
今後は理念を共有できる仲間(スタッフ)とともに一人一人が生き生きと生きられる社会づくりを目指し、飲食業界を通して食の大切さを伝え、人が成長できる場を作っていきたいとのことだ。